フーリエ変換のself-reciprocal functionの一般論
フーリエ変換の不動点
以下の2つの記事でフーリエ変換のself-reciprocal functionの例を挙げた。
次の2つである。
これら2つの関数はフーリエ変換で(定数倍を除いて)同じ関数に写される。
このような関数は、フーリエ変換における不動点とみなせ、フーリエ変換におけるself-reciprocal functionというのであった。
このような関数は他にも色々あるのだが、この記事ではこのような関数に関する一般論を述べることにする。
注意事項として、この記事では、(他の記事と異なり)フーリエ変換の定義として次を用いる。
これは、フーリエ変換の複数の定義の3番目の定義であり、フーリエ変換がユニタリ変換となるようにするために(定数倍を考えないようにするために)こうする。
とも書くことにする。
フーリエ変換の繰り返し適用
ある関数
1回のフーリエ変換により、
ここで、
について、
最後の式変形はフーリエ逆変換である。
このことから、
がわかる。続いて、
であり、
となり、4回目の適用で元の関数に戻ることがわかる。
このように4回の適用でもとに戻るような操作は数学でよく出てくる。たとえば虚数単位
図式的にまとめると次のようになる。
話がそれたが、ここで得た重要な式は
特に偶関数に絞って考えれば、
である。
フーリエ変換の固有値
フーリエ変換は線形変換であるから、固有値を考えるのは自然なことである。
これを4回繰り返すと、
であるが、一方先程の考察から、
よって、
したがって、
あとで例を示すが、
を満たす非零の関数
そして、これらの固有値に対応する固有空間をそれぞれ、
実際、
となるが、
以上の議論により、
を持つことがわかる。この式にフーリエ変換を適用していくことで、次の式を得る。
これを解くことで、上の
とフーリエ変換の繰り返し適用の線形結合で表せる。
ここで、
フーリエ変換の固有値 に対する固有関数の例
固有値 に対する固有関数の例
これはself-reciprocal functionそのものであり、既に冒頭に挙げた
が典型例である。
周波数領域での微分
フーリエ変換の性質の一つで重要なものに周波数微分公式
がある。これは時間領域で
これは次のように計算することで得られる。
以下ではこの公式を利用して、
のフーリエ変換
固有値 に対する固有関数の例
上の
は固有値
固有値 に対する固有関数の例
上の
のフーリエ変換を考えると
であるから、
方程式を解けば
は固有値
固有値 に対する固有関数の例
上の
のフーリエ変換を考えると
であるから、
方程式を解けば
は固有値